◆講題 専修念仏と神祇不詳 − なぜ念仏は弾圧されたのか −
佐藤弘夫 東北大学大学院教授

◆講題 「愚禿釋親鸞」の誕生
一楽 真 大谷大学助教授

御流罪八百年  − 弾圧を超えて -
大会趣旨
  1207年、親鸞聖人が師法然上人と共に承元の法難に連座し、罪人として越後国府に遠流に処せられてから、八百年を迎えようとしている。しかし、その教えの流れをくむものが、その流罪の重さというものに一体どれだけ心を致してきたであろうか。「教行信証」のいわゆる「後序」に記す「主上臣下、法に背き義に違し、忿を成し怨を結ぷ。これに因って、真宗興隆の大祖源空法師、並びに門徒数輩、罪科を考えず、猥りがわしく死罪に坐す。或いは僧儀を改めて姓名を賜うて、遠流に処す。余はそのなり」という言葉は、時の為政者だけに向けられた抗議ではなく、後に生きるわれわれにこそ叫ばれた悲痛なる遺言ではなかっただろうか。法然上人と共にその門徒たちは、命懸けの念仏を生きたのである。その事実をただ記し残すことで、命懸けの念仏を教えようとされたのである。

  「いのちよりも大切なものが見つからない限り、人間はいのちを大切にしない」という曽我量深師の教えを受け止めてみれば、現代が抱える全ての事柄は、その「いのちよりも大切なもの」を見つけられずに、いのちを軽視しているすがたばかりである。いじめ・虐待・差別・自殺・搾取・弾圧・戦争・環境破壊、全世界におこっている全ての問題は、そこに起因しているとも言えよう。親鸞聖人は、その弾圧を受けつつ、これを超えて、いのちより大切なものとしで選択本願の念仏を顕かにし、われわれにこれを伝えようとされたのである。

  この越後時代を考えてみると、流罪によって、聖人は「禿」という姓を見出し、群萠の地平を明らかにされている。また法然上人との死別によって、「親鸞」という名をさらに深く生きようとされた。この「愚禿釋親鸞」こそ「顕浄土真実教行証文類(「教行信証」)を著わすための名告りであって、こう名告ったところに起筆の原点があるといっても言い過ぎではない。さらに金子大榮師が指摘しているように、後に「海」の思想として開顕されるその海を体験するのも、この越後である。そして何よりも聖人にとって、恵信尼と子どもたちとの家庭生活が始まり、大きな転機になったことが留意されなければならない。この家庭生活の体験が、「いなかのひとびと」との語り合いに大きく影響したはずである。愚禿を名告る念仏者の具体的な生活は、「いなかのひとびと」と全く変わることのない親子共どもの家庭であったからである。

  そして、この流罪の生活をくぐることで、善導大師の「五濁の時機いたりては 道俗ともにあらそいて 念仏信ずるひとをみて 疑謗破滅さかりなり」という未来記はさらに昇華され、「よくよく、念仏そしらんひとをたすかれとおぼしめして、念仏しあわせたまうべくそうろう」と人びとに勧める言葉となって、深くて広い願いの表現へと結実していくのである。世界に起こっている民族間・宗教間のいがみ合いを見るにつけ、怨みに怨みを重ね、互いに正義と正義を立て合い、報復には報復で対抗して、泥沼化している状態である。聖人は、これとは全く違った義を立てない願いの立場(「無義をもって義とす」)を提起している。

  念仏を謗る人がいたのは過去のことであろうか。現代の日本には、果たしていないのであろうか。謗るよりも以前の状況、無視にも等しい「破滅さかりなり」の状態なのではないだろうか。

  来る2007年、「御流罪八百年」を迎えるにあたり、その前年、この御流罪の地である高田教区を会場として、その「弾圧を超えて」立ち上がっていかれた親鸞聖人の教えを、共どもに確かめる意義は、深くして重いものがある。



日 程
5月11日(木) 9:00 受付
9:30 開会式
10:00 研究発表(3名)
11:30 昼食
12:30 研究発表(2名)
14:00 記念講演T 佐藤弘夫氏
15:10 記念講演U 一楽真氏 
16:10 記念講演に対する質疑
16:30 閉会式
17:30 懇親会(デュオ・セレッソ)
【オプション: 宗祖御旧跡参拝】
5月12日(金) 9:00 高田別院出発
9:20 居多ケ浜・五智国分寺・光源寺・国府別院
11:00 淨興寺
12:00 昼食 (ゑしんの里)
13:50 新井別院
15:00 高田別院着


各交通機関からのご案内
電車をご利用の場合
・信越本線 「高田」 駅下車の場合
  徒歩約10分 (寺町通り経由)
車をご利用の場合
・上越インター下車の場合
  妙高市方面を進行 下稲田IC・鴨島ICまたは、今池ICで右折。
  それぞれ約15分〜20分程

・高田インター下車の場合
  直江津方面に進行
  金谷山入口交差点または、大貫交差点を右折
  それぞれ8分程
タクシーをご利用の場合
・高田駅からは5分程で到着します。
・直江津駅から山麓線経由で20分程で到着します。

お問合せ先
真宗教学学会高田大会事務局(高田教務所)まで
新潟県上越市寺町2−24−4
TEL: 025−524−3913
主催:真宗教学学会   共催:真宗大谷派高田教区
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